教科書傍用問題集の問題を全問解かせるという作業はもう止めにしませんか?
高松市の高校ではいまだに、4stepなどの教科書傍用問題集の試験範囲の箇所を「全問」解かせるという非常に困った内容の宿題を出す教諭がいらっしゃります。
まず、なぜ「全問」なのでしょうか?数学が得意な生徒にしてみれば、ほとんどの問題が容易に解けてしまうためただの作業になります。数学が苦手な生徒にしてみれば、ほとんどの問題が解けないので「全問」を解くには非常に時間がかかり過ぎます。全員に強制的に「全問」を解かせるのは誰得?なのでしょうか?数学が得意な生徒はただの作業を強いられ、数学が苦手な生徒はわからないので解答を写し、結局作業になります。
例えば全員に「全問」ではなく、重要な問題をピックアップするとか、例えば「基本をしっかり押さえたい人はこの問題、発展問題を解きたい人はこの問題」と数学の理解度や生徒本人の希望に応じて問題を分けることもできるはずです。もしくはどの問題を解くかを生徒に一任してもよいかと思います。それならば自分がわからない部分を重点的に学習できますし。
いずれにせよ、全ての生徒に「全問」を解かせるというのは乱暴なやり方ではないでしょうか?もっと生徒各々にとって最善のプランを提示できるはずです。
何より、この「全問」解かせるという宿題は数学の力をつける上であまり効果がなく、効率が悪いものです。
『チャート式 数学Ⅰ+A』(いわゆる赤チャート)もコラム「数学の勉強法」にて、「スポーツにおける技能の習熟とも違って、基本的には反復練習が必要ない」「理解もせずに同じことを何度も繰り返し練習しても、あまり意味がない」「参考書を1日に数ページずつ進めるというような単なる形式的な学習計画ではなく、自分の理解の状態に応じた自発的な学習を進めることを心がけよう」と掲載しています。
私も同じ意見で、理解できていないことを何回やらしても意味はありません。数学の力が身につくことはありません。先ほどのコラム「数学の勉強法」に「重要なことは、理解できるまでやめないこと。…理解が固まっていない状態で中断してしまうと、次回はまた最初からやり直しということになりかねない。」とあります。「学校で習った後はできるのに時間が経ったらできなくなる」と思っている高校生も多いと思いますが、それはしっかりと理解ができていない証拠です。
数学の勉強法としては、多くの問題を解いてどれも曖昧な状態になるくらいなら、1問に何時間かけてもいいので100%理解できた状態を作る方がはるかに効率的なのです。たくさん解くのではなく、確実に理解していくことが大切です。
以上のことから、教科書傍用問題集の問題を全ての生徒に「全問」解かせるというのは、生徒のためにならないばかりか、数学の勉強法としても効率的ではないため、早くこの習慣を改めてほしいと切に願います。